既存店ベースがなぜ必要?
全体売上が前年を超えていても、実は新規出店でかさ上げされているだけで、既存の店舗はジリ貧になっている……。
小売り店等の店舗ビジネスではよくある話です。出店や退店による影響を取り除き、事業の健康状態を把握するために欠かせないのが、既存店ベースの実績把握です。
既存店の定義
いつ存在している店舗を既存店とするかの定義を決めます。
各店ごとの開店日、閉店日を使用し既存店を算出します。
今回は選択した売上日の1年前に存在していた店舗を既存店とします。
Qlikチャート作成準備
変数とマスタアイテムを準備します。
■変数
シートの編集→変数→新規作成ボタンをクリックして下記テーブルの(vCur_MinDate、vCur_MaxDate)を設定します。


| 名前 | 定義 |
| vCur_MinDate | =Min(売上日) |
| vCur_MaxDate | =Max(売上日) |
■マスタアイテム設定
右上のシートの編集→左上のアセット→マスタアイテムをクリックしメジャーの+ボタンをクリック
名前、数式に下記テーブルの式を設定し、数値書式と表示単位を指定して作成します。
| 名前 | 数式 |
| 売上額 | =Sum({<売上日={“>=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)”}>} 売上価格) |
| 顧客数 | =Count({<売上日={“>=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)”}>} distinct [顧客ID]) |
作成したマスタアイテムをメジャーとしてチャートを作成します。

全店対象としたチャートが完成しました。
Qlikで既存店算出準備
スクリプトで開店年月日、閉店年月日を作成します。
OPEN_DATEに開店年月日、CLOSE_DATEに閉店年月日が格納されています。
Date(If(IsNull(OPEN_DATE), '2018/01/01', OPEN_DATE), 'YYYY/MM/DD') as [開店年月日],
Date(If(IsNull(CLOSE_DATE), '2999/12/01', CLOSE_DATE), 'YYYY/MM/DD') as [閉店年月日]■変数作成
| 名前 | 定義 |
| vLast_MinDate | =AddYears(‘$(vCur_MinDate)’,-1) |
=AddYears('$(vCur_MinDate)',-1)既存店は選択した売上日の最小日の前年以前に開店し、売上日の最大日以降に閉店した店舗コードの絞り込みに使用します。
下記数式を売上額、顧客数へ加えて算出します。
店舗コード=P({1<開店年月日={“<=$(vLast_MinDate)”},閉店年月日={“>=$(vCur_MaxDate)”}>})
店舗コード=P({1<開店年月日={"<=$(vLast_MinDate)"},閉店年月日={">=$(vCur_MaxDate)"}>})全データを対象に、開店年月日・閉店年月日の条件を満たす選択可能な店舗コードを取得します。
Qlikチャート対応
既存店の実績を絞り込むため、各チャートマスタアイテムのメジャーへ先ほどの既存店算出式をSET文として追加します。
| 名前 | 定義 |
| 売上額 | =Sum({<売上日={“>=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)”},店舗コード= P({1<開店年月日={“<=$(vLast_MinDate)”},閉店年月日={“>=$(vCur_MaxDate)”}>})>} 売上価格) |
| 顧客数 | =Count({<売上日={“>=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)”},店舗コード=P({1<開店年月日={“<=$(vLast_MinDate)”},閉店年月日={“>=$(vCur_MaxDate)”}>})>} distinct [顧客ID]) |
売上額
=Sum({<売上日={">=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)"},店舗コード= P({1<開店年月日={"<=$(vLast_MinDate)"},閉店年月日={">=$(vCur_MaxDate)"}>})>} 売上価格)顧客数
=Count({<売上日={">=$(vCur_MinDate)<=$(vCur_MaxDate)"},店舗コード=P({1<開店年月日={"<=$(vLast_MinDate)"},閉店年月日={">=$(vCur_MaxDate)"}>})>} distinct [顧客ID])完成
既存店シートが完成しました。

既存店・全店の顧客数と店舗数及び売上金額を比較してみます。


2021年で絞り込んだ結果
顧客数 : 全店対象(6,216)、既存店対象(5808)
店舗数 : 全店対象(46)、既存店対象(43)
売上額 : 全店対象(246,616,941)、既存店対象(230,407,504)
全体46店舗に対して既存店43店舗ですので新店で3店舗分の売上額、顧客数が増えているという事になります。
まとめ
今回は、店舗ビジネスの分析で欠かせない既存店ベースの実績をQlikで算出・可視化する方法をご紹介しました。全体売上が好調に見えても、新規出店によるかさ上げを取り除いて分析しなければ、事業の真の健康状態は見えてきません。
本記事で解説した「開店日・閉店日を用いた判定ロジック」で既存店舗の実態を正しく把握し、次の店舗戦略や意思決定に活かすための分析基盤として、ぜひアプリ構築に役立ててみてください。


